外郎売(ういろううり)という歌舞伎で演じられる趣向の一つをご存じでしょうか。
よくアナウンサーや声優の活舌練習に用いられるセリフ芸の一つです。
私も活舌練習とまでは言いませんが、出来るとちょっと格好良いな、と少しばかり練習していたことがあります。
まぁ、ちょっと練習したところで同じところで躓きますし、もう諳んじるのも無理ですが。
さて、その外郎売の中にこんなものがあります。
~~心得たんぽの川崎 神奈川 保土ヶ谷。戸塚は走って行けば やいとをすりむく三里ばかりか~~
by 外郎売より一部抜粋
正直ここの部分は「口が廻る」事を見せつける部分なのであまり意味はないとされています。
それでも駄洒落として「やいと=灸」を据える「三里」というツボにかけて
灸を据えて歩く以上の距離を勢いよく走りすぎていく…というような表現がされているようです。
さて、この「三里」というツボについては千利休が「奥の細道」の序文に書いています。
~~股引の破れをつづり、笠の緒付けかへて、三里に灸すゆるより~~
by 奥の細道より一部抜粋
利休は東北地方を巡っていた時期があったわけですが、その日常の中に笠の紐を付け替えるのと同じように足三里に灸を据えるという行為があったことが窺い知れます。
さて、この二つを挙げて何が言いたいかと言うと、昔から「足三里」というツボが日常的に使われていた、また灸というものが比較的庶民の日常に紛れていたと考えられるわけですよ。
現代で”灸”というと「本当に効くの?」という感じになりがちなのですが、庶民でも出来る健康法の一つだったわけです。
ですので皆さんも気軽に試してもらいたいのが灸なんですよ、と。
今やドラッグストアで火をつけるだけで良い”せんねん灸”や煙の少ない”無煙灸”というものも売ってますしね。
わざわざ買わなくても今の時期なら耐熱のペットボトルも出てるのでアレに熱めのお湯を入れてツボに当てても良いですね。
そして紹介するツボとして「足三里」
効能としては結構万能で
胃痛 腹痛 下痢 食欲不振 下肢疼痛などが主たるものとして挙げられます。
特に胃腸系に強い感じですね。
古典から効能を引っ張ってくれば坐骨神経痛や痛風、鼻疾患、神経衰弱なんかにも良いとされます。
そもそもそこまで悪いところが無くても健康を維持するための場所として用いられていたようです。
教科書的には
〇脛骨粗面の下縁の高さで脛骨前縁から外方2cmにある。
〇脛骨粗面の最大膨隆部と腓骨頭を結んだ中点から指三本分下。
〇犢鼻(とくび)の下3寸。
というような表記になります。
何処やねんという話ですが、一番簡単なのが
脛(すね)を上へ摺り上げるように触ると急に盛り上がる部分があり、その外2cmmとなります。
ここにお灸を据えましょう。あんまり熱く感じなければ2壮目、3壮目と据えて頂いても結構です。

最後に、火傷にだけは注意しましょう。
ほんのり温かい、ちょっと熱いぐらいで十分です。
「熱っ!」となればすぐに取りましょうね。
それでは良い一日を。
