東洋医学いったり西洋医学いったりテンでバラバラなこのコラムですが、今日は怪我でも病気でもない解剖学系のお話。目に関わる鍼灸接骨院だからね。大事です。
そして眼の中心、つまりは「瞳孔」と呼ばれるものについて。
瞳孔はどこにあるものか。下の図で言うと中心の辺りに水平線を引いたとして
左から角膜、(房水)、瞳孔、水晶体(レンズ)、(硝子体)、網膜、白膜の順に名前が付きます。
一応、中学理科で角膜と水晶体ぐらいは聞いたことがあるのではないかと思います。
焦点とか焦点距離の問題ですよ!

その、角膜と水晶体の間にある「光が通る隙間」というのが瞳孔を指します。
なので一番中央になります。その周囲の茶、黒、青と人種によって様々ですが、その隙間の大きさを変えるのは「虹彩」になります。
ちなみに虹彩は実質層と上皮と呼ばれる2層構造をしており、この実質層のメラニンの量で虹彩の色は変わります。多いと茶色からこげ茶、少ないと部分的にメラミンが緑や黄色に見えるためにハシバミ色に。
さらに少ないと実質層でチンダル現象という光の乱反射(空が青く見える現象と同じ)により緑に。
メラミン色素がみられない場合、先ほどのチンダル現象により青く。
同じくメラミン色素が見られないが、実質層に余剰なコラーゲンが多いとチンダル現象が阻害され灰色になるそうです。
ヒトの場合、この虹彩による瞳孔は円形をしています。
そしてタイトル回収、なぜ黒いのかという点については
「眼の中が暗いから」という理由ですね。
by Visual Anatomy
瞳孔は虹彩の中にある筋の作用で大きくあるいは小さくなる。
必要以上に光が入らないように調節している。
なのでライトで眼球内を照らすと普通に明るくなります。照らされた側は何も見えなくなりますが。
昔は暗いところで写真を撮ると「赤目」になることが多かったですが、これはフラッシュの光が眼球に入り込んで眼球内を明るく照らした結果、眼の中の血管が反射して写ってしまうためです。最近はインスタントカメラのようなフラッシュが少なくなったのと機械の進化で撮影タイミングが調整されてるおかげで赤目を見ることは減った気がします。
眼科で瞳孔開く薬を点された後、注意してぼんやり見ると網膜の血管を見ることができたりします。光がたくさん入るので普段見えないものが見えます。霊的じゃないやつ。
そしてここからは余談。しかし余談ながら半分メイン。
面白いのはこの瞳孔、動物の種類によっては形が違うというやつです。
馬や牛など、広い範囲を見渡す必要がある草食動物なんかは水平長方形。
羊は頭を下げて草食んでてもその水平が維持されるのが有名ですよね。
しかし同じ草食動物なのに悪魔の象徴みたく描かれる山羊よ…。
スケープゴートとかそうですけど、キリスト教で悪者扱いされる山羊さん。
古代ギリシアではスケープゴート役は雄牛だったのに…。
左から猫 獅子 山羊の瞳孔
猫は特に細長い。山羊や羊の瞳は不気味とされがち。
ところで猫やキツネ(イヌ科)などの小型の狩猟動物は縦に細長くなります。
が、同じネコ科でもライオンや虎なんかは実は円形です。
これはもう夜行性か否かというところが理由でしょうね。縦に細くした方が獲物との距離を測りやすくしたまま光を効率的に入れられるという所でしょう。
獣人的なものを描いたとき「ネコ科だからという理由で全部縦に長い瞳孔を描くと間違い」というお話。
それでは良い一日を。


