金木犀が良い香りを漂わせています。まさに金風。
秋というのは五行に照らし合わると”金”の気であり、色は”白”。
なので白風とか色無き風というのも秋の季語になります。
ただパンの匂いも漂っていたあたり秋渇き。
さて、日本において体調不良があった場合に鍼灸治療を第一選択として選ばれる方は数%だと言われています。
また、鍼灸全体の受療率としても5%程度だという調べもあったりします。
しかし何故そこまで受ける方が少ないのか、となると
何に効くのか分からない。普通の医療で十分では?といった知名度の低さが一番の所だと思います。
なので私はこつこつと記事を書きつづけていたりします。
で、胃痛。原因はストレスであったり暴飲暴食であったり様々です。
内科さんでは症状にあった定型的なお薬が処方されますが、胃痛となると基本的には胃酸分泌抑制薬、胃粘膜保護の薬を処方されて終わり、というのが一般的です。
勿論それで良くなるならばそれで良いのですが、それが効かないとなった時や、胃痛だけでなくイライラやしんどさ、不安感など”胃”以外の症状がお薬だけで良くなるとは限らないのですよね。
ただ、鍼灸治療であれば総合的にすべてを治療を行うことが出来るのが良いところなのです。
一口に”胃痛”と言っても様々です。
・食欲は無いけど、なんとなく食べてしまう。けど食べると痛みがある。
・胃が痛いのと同時に胸が苦しい感じがする。
・イライラと一緒に胸が張る感じで痛い。
・鳩尾を押さえると痛い、苦しい。逆に抑えると楽になる。
等々
東洋医学ではこういったそれぞれの症状に合わせて治療を行いますので、お薬で改善しない場合でも受けた直後から楽に感じるという事は多々あります。
以下に簡単な説明を書きますが、なるべく簡単にするために専門家から見ると多少解釈の違いがあるかと思いますがご了承ください。
A.冷たいものを食べての胃痛(寒邪)
寒邪と呼ばれる”わるいもの”が体内に侵入、あるいは冷たいものの過食により生じる胃痛。
これは脾胃と呼ばれる臓腑が「陽虚」という”温かさ”が足りない状態になってしまい生じる胃痛です。
症状として胃の鈍痛、倦怠感、精神疲労、泥上便など、また食べると胃痛は軽減したりします。
この場合はお腹の真ん中に鍼をしたりお灸をすることで単純に良くなることが多いです。
B.食べ過ぎによる胃痛(食滞)
食べ過ぎによって胃に飲食が停滞すると、それが湿熱と呼ばれるような湿気や熱が籠るような状態に変わります。
そうなると気の流れが阻害されてしまい、また気が降りなくなることで胃痛が生じる状態です。
胸がつかえる、口の中が粘つく、力が入らない、下痢する、舌の色が薄くなるなど。
この場合は脾と胃の能力を単純に上げてやる必要があります。
足三里や豊隆と呼ばれる足の外側にあるツボに対して鍼や灸をすることで胃腸がよく動くようになり楽になります。
C.イライラ、ストレスによる胃痛(肝鬱)
感情が不安定になるような状態を「情志の失調」といいます。
こうなると怒りに関連する「肝」の働きが悪くなり、肝の機能である液体を流す力が弱くなることで胃痛が生じます。
鳩尾付近が張る、げっぷ、ため息、胸苦しさがある。怒ると胃痛が悪化する。というような状態。
これは精神的な部分が大きいので精神を落ち着けるようなツボを用います。
「内関」という手首内側のシワから肘に向かって指三本分手前、2本ある腱の間にあります。
ここに鍼…を行いますが、単純にもう片方の指でぐりぐり押さえて貰っても効果があったりします。
D.疲労や不規則な生活による胃痛(脾胃虚寒)
疲労や不規則な生活はそれだけで脾や胃を痛めます。またこれらは「陽」の気をコントロールする臓腑でもあるので陽虚(温かさが足りない)状態となり、その近くにある胃が温められず胃痛が生じるという状態です。
先ほどの冷たいものが入って~とは違い、元から足りないものが多いので気が足りない、手足が冷たいなどの症状が出てきます。
温めると楽、舌に歯の痕が残る、寒がり、精神疲労、食欲不振などが見られます。
これも足三里なんかにお灸するのが良いですが、背中にお灸することで足りない気を足したり、熱を入れてやることで改善します。
少々長くなりましたが、これでも一部分です。
これらが並行して出てくることも当然ありますのでそれぞれに対応した治療が必要になります。
逆に言うと、それぞれに対応した治療が出来るのが鍼灸の強みですので、気になった方は一度鍼灸治療を受けて頂ければよいかな、と思います。

実際はこれの100分の1位の米粒より小さいサイズです。
それでは良い一日を。
