(甘草の写真です。)
当院HPでよく表示されている検索ワードは「こむら返り 漢方」によるアクセスです。
…なんで?
こむら返りに効く漢方
普通の事しか書いてない…
というわけで改めてちょっと詳しく書こうかと。長文になる気配。
まず「こむら返り」自体は前にも書いた通り「筋肉の痙攣(けいれん)」が生じています。医学的には「有痛性筋痙攣」と名が付きます。
痙攣と書くとブルブル震えるような印象を持つ方もおられますが、このけいれんは筋肉が収縮し続けて伸びない、緩まない状態を指します。
前の記事では原因とされるものに冷え・疲労・脱水が多いとも書きました。
医学的にいうと「下腿への循環不全・電解質不足」です。
水分不足により血流が流れない、またNa(ナトリウム)Ca(カルシウム)などが不足することにより筋肉が正常に動かなくなる状態ですね。
東洋医学的には血が足りない状態を「血虚」といいます。また水分の事を「津液」と云うことがありますがそれは「陰」の気に属するので両方足りなければ「陰血不足」という状態。
陽は足りているが陰が足りていないとされることが多いです。
となると水分を調整するような漢方、あるいは筋肉に作用する漢方が有効となるわけです。
その中で一番の有名どころが「芍薬甘草湯」となるわけですが、
疾走後なんかに生じるこむら返りと、冬の夜の寝ている時に生じるこむら返りが同じように効くかというとちょっと怪しい。
冬のこむら返りは「寒」によるものが強いので芍薬の水分調整と甘草の筋の弛緩だけではちょっと効かないことがあるわけです。
ただ、他にも何かないかと調べると中国のサイトにこんなものがありました
1. 足のけいれんが再発する場合は、寒さによって悪化します。
手足のしびれ、手足の冷え、寒さへの恐怖などは、陽気が弱り、気血の循環が悪くなっていることが原因である場合があります。黄耆桂枝五物湯は、経絡を温め、寒気を鎮める効果があります。
https://m-mip.39.net/askar/mipso_11801138.html
黄耆桂枝五物湯(おうぎけいしごもつとう)ですね。
日本では手足のしびれ等に用いられるとされますが、中国ではこういった書き方をされるようです。
さらには
1.肝血虚型
識別のポイント: 頻繁なけいれん、手足のしびれ、めまい、爪の乾燥を伴う。
薬剤リスト:
芍薬と甘草の配合剤(芍薬顆粒など):肝臓を柔らかくし、急性の痛みを和らげ、痛みを止めます。
养血荣筋丸:血液を補い、腱に栄養を与え、長期の血液不足の人に適しています。2.寒湿阻滞型
識別のポイント: 寒さによってけいれんが悪化する、足が痛む、冷たくて痛い、または風邪をひいたことがある。
薬剤リスト:
独活寄生丸:リウマチを消し、風邪を消し、痛みを和らげ、寒気と湿気に侵された人に適しています。
小活络丸:経絡を温めて側副血行を良くし、冷えが滞って瘀血が起こったときに使います。
3.气血両虚型
識別のポイント:けいれんは疲労、顔色不良、動悸、息切れを伴い、疲労後に悪化します。
薬剤リスト:
帰脾湯:気血を補い、脾虚と血虚を調節します。
八珍丸:気と血を補い、筋肉の栄養失調を改善します。
https://health.baidu.com/m/detail/ar_6003003721831049463
※自動翻訳だけではやはり変な翻訳になるのが多いので少し改変しています。
独活寄生丸はさすがに初めて聞きましたが日本でも買えるようですね。
ただやはり症状に合わせて処方されるのが一般的ですね。
以前にも書きましたが日本の市販漢方薬は飲めば万人に効くものではありません。
本来であれば個々に合わせて調剤すべきなのですが、一般化するにあたって病名に合わせた画一的な薬になりました。
同じこむら返りでも芍薬甘草湯が効く場合と効かない場合がありますよという話です。
ただどの中国のHPにも「運動しろ」「栄養をしっかりと取れ」という文言が入っていることが殆どでした。
あまり日本のHPではそういったことは書いていないことが多いのですが、中国ではそういった日常の生活からの指導が一般的なのでしょう。(ナツメとリュウガンのスープを飲めとか。リュウガン…見たことすらないです。)
(中国出身の患者様に聞いてみると家に甘草ぐらいは常備しているとか、昔は陳皮も自分の家で作っていたが、農薬酷すぎて買うしかなくなったとか聞いてて面白かったです。)
日本では病院で薬貰ったらそれで満足してあと何もしない方が多いですもんね…。
またこんな文言もありました。
「歳をとったのだから、これらの問題を受け入れていいのだろうか?」と言う人もいますが、決してそうではありません。歳をとったからといって体が弱るわけではなく、弱ったからといって足がつるわけでもありません。70代、80代の中医の老師たちは、日々の鍛錬と肝気の滞りのなさのおかげで、一日中立ちっぱなしで患者を診ていても疲れを感じません。足を弱らせる本当の原因は、年齢ではなく、怠慢なのです。いつも「老い」を言い訳にする人がいますが、それは実は怠惰の言い訳です。
http://www.360doc.com/content/25/0426/10/53000828_1152140965.shtml
中々耳に痛い方も多いのではないでしょうか(笑)
ですので、ちょっとでも運動できるなら運動しましょう。
それでは良い一日を。
※私は登録販売者資格を持っているわけではないのであくまで紹介です。
上記漢方薬を推奨しているわけではないのでご留意ください。